登山用インソールの実使用レビュー|北アルプス・蝶ヶ岳17.3kmをエアポンプインソール Proで歩いた記録

登山用インソールの実使用レビュー|北アルプス・蝶ヶ岳17.3kmをエアポンプインソール Proで歩いた記録

2025年の秋、北アルプスの蝶ヶ岳に登りました。距離17.3km、獲得標高1,233m、行動時間6時間の日帰りです。

この山行に、当時まだ発売前だった「エアポンプインソール Pro」の試作品を入れて歩きました。この記事は、そのときの記録です。

先に書いておきます。これは販売者が自社製品を試した記録です。良かったことだけでなく、この1回では分からなかったことも書きます。

夜明け前、霧のかかった蝶ヶ岳の樹林帯を登る

歩いた条件

  • 山:蝶ヶ岳(北アルプス・標高2,677m)
  • 時期:2025年の秋
  • 距離:17.3km
  • 獲得標高:1,233m
  • 行動時間:6時間(日帰り)
  • 天候:出発時は小雨と霧、稜線から上は晴れ
  • インソール:エアポンプインソール Pro(発売前の試作品)

登り|暗い樹林帯の、根と岩

夜明け前、まだ暗い登山口を出発しました。ヘッドライトの光が濡れた登山道を照らし、小雨が葉を叩く音だけが響いています。

蝶ヶ岳は序盤から急登が続きます。樹林帯は木の根と岩が多く、着地する面が一歩ごとに違う。写真がぶれているのは、この時間帯の暗さと、足場の悪さです。

ここが、登山でインソールの差が出る場面だと思っています。平らな路面なら足裏の同じ場所で受けられますが、根と岩では荷重のかかる位置が毎回ずれる。平らで固定されたクッションだと、どこか一点に集中しやすくなります。

樹林帯を抜ける|雲の下から、雲の上へ

標高を上げていくと、空が白みはじめました。雲の層を抜けた瞬間、眼下に雲海が広がります。

蝶ヶ岳の樹林帯を抜けた展望地から見下ろす雲海

落葉した木々の向こうが、一面の白。小雨の中を歩いてきたので、その雲の中にさっきまで自分がいたことになります。

稜線|ハイマツと、雲海

樹林帯を抜けると、足元はハイマツに変わります。風が通り、空気が変わる。

蝶ヶ岳の稜線、ハイマツの斜面と右手に広がる雲海

稜線に出てからは、傾斜が緩んで歩きやすくなります。ここまでの急登で足を使い切っていなければ、いちばん気持ちのいい区間です。

山頂|穂高と槍

山頂に立つと、正面に穂高連峰が並びます。谷筋に雲が流れ込み、右奥には槍ヶ岳の穂先。

蝶ヶ岳の稜線から見た穂高連峰と槍ヶ岳

この景色のために登ってきた、と思える瞬間でした。蝶ヶ岳が人気なのは、この一枚の正面性だと思います。

下り|膝にいちばん来る時間帯

登山で膝がいちばん疲れるのは下山です。体重と荷物が、一歩ごとにかかとから膝へ乗り続けます。登りは筋力で、下りは衝撃で疲れる。

蝶ヶ岳の下山路、ガレ場に立つ登山靴

ガレ場では、踏んだ石が動きます。かかとが左右に逃げるたび、足首から膝、腰までの筋肉が姿勢を立て直している。この積み重ねが、下山後半の疲れです。

今回も下りで膝の疲れを感じ始めました。ただ、それまでの山行と比べると軽かった、というのが正直な感想です。

下山後と、翌日

下山後は温泉に入って帰りました。

翌日の膝は、それまでの山行より明らかに楽でした。筋肉痛も少なかった。ただしこれは私個人の感想です。体格・歩き方・荷物の重さで変わります。

足元で、何をしていたか

出発前にやったこと

登山靴の純正インソールを抜いて、Proに入れ替えました。上に重ねてはいけません。靴の中の容積が減って、甲が圧迫されます。

入れ替えたら、指先でポンプを押して空気を入れてから履きます。硬すぎると感じたら、黄色いバルブを押して抜いて調整します。

空気で変わるもの・変わらないもの

ここは正確に書きます。

土踏まずの位置にエアポンプシステムがあり、この部分がアーチを高く保つ構造になっています。ここは固定です。足裏のアーチは、この構造とヒールカップが支えます。

指先でポンプを押すと空気圧が変わり、かかとと、足指のつけ根(母趾球)あたりの高さが変化します。アーチの高さそのものは変わりません。左右は独立して調整できます。

つまり、空気で変わるのはフィット感クッション量の2つです。「アーチの高さを自分で決められる」という道具ではありません。

山の中で調整できるという意味

固定式のインソールは、一度選んだら山の中では変えられません。空気圧式なら、休憩中にポンプを押す・バルブで抜く、という操作ができます。

使いどころは2つあると思っています。下りの前にクッションを足すことと、午後に足がむくんで靴がきつくなったときに抜くことです。

正直に書きます|この1回では分からなかったこと

  • 比較実験ではありません。同じ靴・同じルート・同じ荷物で、インソールだけ替えて歩いたわけではないので、「翌日楽だった」がインソールのおかげだと言い切ることはできません
  • 発売前の試作品での記録です。製品版と細部が同じとは限りません
  • 1回きりの日帰りです。テント泊の重い荷物や、連日の縦走で同じことが起きるかは、これでは分かりません
  • 登山靴のサイズや紐の締め方が合っていなければ、インソールでは解決しません。順番は靴→靴下→インソールです
  • もともと土踏まずが高い方には、解決になりません。アーチの高さは調整できないからです
  • 容積に余裕のないローカットのシューズでは、純正を抜いても入らないことがあります。買う前に純正の厚みと比べてください

登山でインソールを使うなら

  1. 純正を抜いて入れ替える。重ねない
  2. つま先側だけを切る。抜いた純正を型紙にして、かかとを合わせ、つま先側で長さを調整する。かかと側は絶対に切らない(ヒールカップが機能そのものです)
  3. 山行当日に初めて使わない。足裏の当たりが変わります。最低でも街で数日、できれば低山で一度歩いてください
  4. 空気は少なめから。入れすぎると甲が圧迫されます
  5. 下山後は靴から出して、洗って陰干し。靴とは別に乾かします

選び方はこちら

登山用インソールを何で選ぶか、よくある失敗、登山靴の種類別の注意は、別の記事にまとめています。

登山用インソールの選び方|5つの基準と、よくある失敗

「そもそも純正から交換すべきか」の判断はこちらです。

登山靴のインソールは交換すべき?|純正との違いと見極め方

下山後の洗い方と乾かし方はこちらです。

インソール・中敷きの洗い方|洗濯機はNG、正しい手洗いと乾かし方

製品情報

▼ エアポンプインソール Pro(Sweetleaff公式)
https://sweetleaff.com/products/airpumpinsole-pro

M(23.0〜26.0cm)/L(27.0〜30.0cm)、6,980円(税込・送料無料)。26.5cmなど中間サイズで迷う場合はMをお選びください。つま先側に1cmごとのカットラインがあり、純正を型紙にして切れば登山靴に合わせられます。

かかとには、台湾・台中でインソールを30年つくり続けるBIOSUZU社が設計したヒールカップが入っています。素材はドイツBASF社のElastollan®です。表面は再生ペットボトル由来のRPET抗菌糸100%で、手洗いできます。

最後に

登山靴は5年10年使いますが、インソールは先に替えられます。靴を買い替える前に、まずインソールを疑うのは、順序として正しいと思います。

北アルプスをまた歩きたいと思えたのは、足元が最後まで持ったからでした。

※本記事は、エアポンプインソール Proを企画・販売するSweetleaffが、発売前の試作品を使用した山行をもとに執筆しています。感想は個人のものです。
※本記事は診断や治療を目的としたものではありません。痛みが続く場合は医療機関にご相談ください。

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